御嶽山麓の里木曽町開田高原は、日本在来馬(和馬)の中でも貴重な木曽馬の里。およそ1500年前から代を継ぐ歴史の証人(証馬?)は、現在全国に160頭程、木曽馬の里乗馬センターには30頭程が飼育されている。このセンターで管理・統轄されているのが中川剛さんだ。ご出身は愛知県。平成9年、木曽馬に魅かれて開田村へ移住し、以来地元や各機関と連携しながら木曽馬の保存と活用に尽力されている。木曽に来てから結婚しお子さんもでき、今じゃ誰よりも木曽馬に精通しているレッキとした木曽人。
かつては木曽谷各地の各戸で飼われ農耕の重要な働き手だった木曽馬も、農業形態の変遷、人の暮らしの変化とともにやがてその数が激減していった。昭和44年に設立された木曽馬保存会の担い手として、中川さんはスタッフと共に精力的に活動している。
「農家の女性たちに大切に育てられた記憶を種に宿しているので、木曽馬は基本的に優しいんです。だから小さい子供でも乗馬体験をさせてあげられる。もちろん強情な奴もいますけどね(笑)」
地域で行われる祭り等行事に参加する木曽馬は、気立てが優しく人間に慣れた木曽馬が選ばれる。2月6日に行われた「開田高原かまくらまつり」では多くの家族連れが恒例の馬ぞり体験を楽しんだ。
牧場で飼われるだけでなく、できるだけ活用する道を探ろう。…中川さんたちの地道な活動は続いていく。